学科概要

2017年6月8日

-絵画科油画専攻概要-

1896(明治29)年に東京美術学校に西洋画科が設立されて以来、本学においても欧州の同時代の絵画思潮を移入摂取しつつ、日本という土壌での油画の展開が連綿と続けられてきました。1933(昭和8)年、西洋画科は油画科と改称し、1949(昭和24)年東京藝術大学が設置されると、絵画科油画専攻となり現在に至っています。
西洋絵画における物の見方や方法論、絵画材料、絵画技術、またその表現から読み取れる意味など、さまざまな背景が徐々に理解・受容されると共に、油画の教育もその実質を変えてきました。本専攻は、設立当初より国際化の一翼を担って近代化する日本文化を先導し、その気運は、第二次世界大戦後もそのまま受け継がれてきたと言えます。

絵画や彫刻といった従来のカテゴリーでは捉えられない表現が現れて久しい今日、本専攻は、そうした時代の変化に対応するべく、それまでの油絵具による写実的表現を基軸とした教育方法を堅持しつつも、写真や映像など、多様なメディアまで拡張された表現に対する教育研究推進を行ってきました。
現在、本専攻は、美術・造形表現の根幹を成してきた、絵を描くということの基礎を学び、21世紀の新しい絵画表現および活動ができうる専門家としての能力を養うことを目標としています。この油画実技教育には、さまざまな美術活動を行う油画全教員が指導にあたります。

1・2年次の基礎課程では、さまざまな手法によるドローイング(素描)を習得させ、自己発見と取材の量、およびその深化に挑ませます。加えて油画、版画、壁画、油画技法材料の各実技実習を通じて、絵画表現の歴史を構成するさまざまな表現媒体・技術・知識に触れる機会を持たせます。
3・4年次の専門課程では各自のテーマに添った創作研究を行い、必要に応じてより専門的な授業、実習やプロジェクトが展開されます。これら基礎課程、専門課程を通じて絵画を中心軸にとり、映像、造形、インスタレーション、そしてそれらを横断する表現の創作研究を行うことができます。卒業生のなかから、世界で活躍する多くの美術家を輩出しています。

-油画理念-

指導教員:
小林正人  (油画第一研究室)
小山穂太郎 (油画第二研究室)
篠田太郎  (油画第三研究室)
杉戸洋   (油画第四研究室)
保科豊巳  (油画第五研究室)
坂田哲也  (油画第六研究室)
O JUN

絵画の基礎実習を通して造形感覚及び技術を錬磨し、造形表現の専門家を養成することを目的とします。教育にあたっては学年制をとり、1・2年次の基礎課程では、造形表現全般に共通する基礎となる素描(ドローイング)に取り組み、油画・版画・壁画・油画技法材料の各実技実習を通じて、絵画表現を構成する様々な表現媒体・技術・知識を習得します。

3・4年次の専門課程では、各自の自主的な創作・研究を深め、必要に応じてより専門的な実習や授業を展開しています。

これら両課程を通じて、伝統的な絵画と各専門領域、さらに広がりつつある多様な表現領域をも視野に入れた広い意味での絵画表現について創作研究を行います。
平成28年度より、取手校地で行っていた学部1年次の授業を上野校地に統合し、選択カリキュラムを1・2年次合同で行うなど、基礎課程の一体教育が展開されることになりました。
卒業後は作家活動を志向し、更に大学院進学や各自の研究によって修得した造形能力を、多方面の分野で発揮し活躍しています。

-版画理念-

指導教員:
ミヒャエル・W・シュナイダー (版画第一研究室)
三井田盛一郎         (版画第二研究室)

版画研究室では、アーティストの実践として現代・歴史的意味での「版画・メディア」研究を位置付けています。そこで、開かれたディスカッションを通して、今日の視覚文化のための「版画・メディア」の役割と関連性が探求されていきます。
また、「版画・メディア」における現代のプロセスだけでなく、四つの歴史的な版種である木版画、インタリオ(銅版画)、リトグラフ、シルクスクリーンの習得と応用にも重点をおいています。私たちは、版画が日本の視覚文化の重要な要素であるという認識から、優秀な留学生の受け入れ、国際的な研究者との交流を推進しています。

-壁画理念-

指導教員:
中村政人  (壁画第一研究室)
工藤晴也  (壁画第二研究室)

文明発祥と同時に繰り広げられてきた絵を描く行為を辿りながら、壁画とその後油画へと繋がる絵画史の変遷を研究,指導しています。また、伝統的壁画表現であるアフレスコ・モザイク・ステンドグラスの技法と材料を研究し、その専門技術を後世へ継承する人材を育成しています。一方、現代という視点から壁画表現を捉え多様な建築スタイルや環境に対応する自由な創造性を重んじながら、より広く社会空間と結びついた造形表現を探求しています。
(文/工藤晴也 教授)

-油画技法材料理念-

指導教員:
齋藤芽生  (油画技法材料第一研究室)
秋本貴透  (油画技法材料第二研究室)

油画技法材料研究室は、1956年(昭和31)、当時東京美術学校教授であった寺田春弌により「技法・材料・修理技術研究室」として設立されました。その後幾度かの名称変更を経て、1978年(昭和53)より現称となり、現在に至っています。1995年(平成7)には、油画の保存と修復部門が「文化財保存学専攻・保存修復油画研究室」として分離独立し、より制作者の立場から絵画の素材・技法と表現の関係を追求していく体制を整えました。寺田春弌、坂本一道、歌田眞介、羽生出、大西博、佐藤一郎らが歴代教員を務め、2014年からは第一研究室を齋藤芽生が、第二研究室を秋本貴透が担当しています。

油画技法材料研究室では、「見ること」の究極的な意味を学生それぞれが探求し、現代において絵画制作を行っていくための礎石となるものの見方をしっかりと築き上げることを目標に、研究・教育活動を展開しています。さらに、下地作りや古典模写、技法研究に取り組むなど、それぞれの方法で「描くこと」に関わる専門性を追求し、実技実習・講義・演習を通して理解を深めています。
また、高精細デジタル撮影記録、デジタル画像処理・出力のスタジオを備え、保存修復油画研究室とも協同しながら、現代の制作者にとって必須となっているアーカイブ作成や文化財保存に関わる知識の蓄積に努めています。

学部生に対しては、下地地塗り実習や絵具制作実習、絵画技法史材料論、材料・技法の選択カリキュラムを随時開講し、絵画構造の基本を、実技・実習・理論の側面を通して総合的に身に着けるための実技教育を行っています。
その他、関連分野における自然科学的調査研究、地域社会との連携による芸術のまちづくり活動、産学協同による絵具の開発など、様々な活動に取り組んでいます。

Posted by yuga