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◆学科・専攻概要

-絵画科油画専攻概要-
1896(明治29)年に東京美術学校に西洋画科が設立されて以来、本学においても欧州の同時代の絵画思潮を移入摂取しつつ、日本という土壌での油画の展開が連綿と続けられてきました。1933(昭和8)年、西洋画科は油画科と改称し、1949(昭和24)年東京藝術大学が設置されると、絵画科油画専攻となり現在に至っています。西洋絵画における物の見方や方法論、絵画材料、絵画技術、またその表現から読み取れる意味など、さまざまな背景が徐々に理解・受容されると共に油画の教育もその実質を変えてきました。本専攻は、設立当初より国際化の一翼を担って近代化する日本文化を先導し、その気運は、第二次世界大戦後もそのまま受け継がれてきたと言えます。
絵画や彫刻といった従来のカテゴリーでは捉えられない表現が現れて久しい今日、本専攻は、そうした時代の変化に対応するべく、それまでの油絵具による写実的表現を基軸とした教育方法を堅持しつつも、写真や映像など、多様なメディアまで拡張された表現に対する教育研究推進を行ってきました。
現在、本専攻は、美術・造形表現の根幹を成してきた、絵を描くということの基礎を学び、21世紀の新しい絵画表現および活動ができうる専門家としての能力を養うことを目標としています。この油画実技教育には、さまざまな美術活動を行う油画全教員が指導にあたります。1・2年次の基礎課程では、さまざまな手法によるドローイング(素描)を習得させ、自己発見と取材の量、およびその深化に挑ませます。加えて油画、版画、壁画、油画技法材料の各実技実習を通じて、絵画表現の歴史を構成するさまざまな表現媒体・技術・知識に触れる機会を持たせます。3・4年次の専門課程では各自のテーマに添った創作研究を行い、必要に応じてより専門的な授業、実習やプロジェクトが受けられます。これら基礎課程、専門課程を通じて絵画を中心軸にとり、映像、造形、インスタレーション、そしてそれらを横断する表現の創作研究を行うことができます。卒業生のなかから、世界で活躍する多くの美術家を輩出しています。
 

油画理念

指導教員:
小林正人  (油画第一研究室)
小山穂太郎 (油画第二研究室)
坂口寛敏  (油画第三研究室)
杉戸洋   (油画第四研究室)
保科豊巳  (油画第五研究室)
坂田哲也  (油画第六研究室)
O JUN   (油画第七研究室)

絵画の基礎実習を通して,造形感覚及び技術を錬磨させ,造形活動の専門家を養成することを目的とします.教育に当たっては学年制をとり,1・2年次の基礎課程では,造形表現全般の共通の基礎となる素描(ドローイング)に取り組み,油画,版画,壁画,油画技法材料の各実技実習を通じて,絵画表現を構成する様々な表現媒体・技術・知識に触れる機会を持たせます.3・4年次の専門課程では,各自の自主的な創作・研究を行い必要に応じてより専門的な実習や授業を展開します.これら両課程を通じて伝統的な絵画と各専門領域さらにインスタレーションや映像表現等領域を横断するような表現も視野に入れた広い意味での絵画表現について創作研究を行います.尚,1年次は取手校地で授業が行われ,また希望者は3年次より版画研究室に所属できます.卒業後は作家活動を志向し,更に,大学院進学や各自の研究によって修得した造形能力を,多方面の分野で発揮し活動しています.
 

版画理念

指導教員:
       (版画第一研究室)
三井田盛一郎 (版画第二研究室)

木版・銅版・リトグラフ・シルクスクリーンの主要4版種の実習を通じ,基礎的版画技術を修得し,各版種の特徴的な表現への理解を深めることを目的とします.さらに,各自の自主的な創作・研究では自らの版表現を展開させその新たな可能性を探ります.
 

壁画理念

指導教員:
中村政人  (壁画第一研究室)
工藤晴也  (壁画第二研究室)

文/工藤晴也 教授

文明発祥と同時に繰り広げられてきた絵を描く行為を辿りながら,壁画とその後油画へと繋がる絵画史の変遷を研究,指導しています.また,伝統的壁画表現であるアフレスコ,モザイク,ステンドグラスの技法と材料を研究し,その専門技術を後世へ継承する人材を育成しています.一方,現代という視点から壁画表現を捉え多様な建築スタイルや環境に対応する自由な創造性を重んじながら,より広く社会空間と結びついた造形表現を探求しています.
 

油画技法材料理念

指導教員:
齋藤芽生  (油画技法材料第一研究室)
秋本貴透  (油画技法材料第二研究室)

文/佐藤一郎 名誉教授

油画技法材料研究室は,自己表現としての油画制作はもちろんのこと,絵画材料,絵画技術の側面から,「油画とはどのようなものか」「油画の成立はどうであってどのように展開してきたのか」という課題にも取り組み,実地に模写作品を制作研究したり,支持体,地塗り,絵具の自家製法を試み,現在油画制作を行う上での絵画材料,絵画技術の探求に携わっている.また,われわれの先達である明治期の油画作品の絵画材料,絵画技術の実体はどのようであったかにも興味をもたざるをえない.明治前期油画作品の多数が東京芸術大学芸術資料館に所蔵されており,それら全作品を対象にした研究成果は,『明治前期油画基礎資料集成 東京芸術大学収蔵作品』(中央公論美術出版平成3年)にまとめられている.

平成6年度に油画保存修復研究室が発足したと同時に,研究室とともに,明治後期とくに東京美術学校西洋画科設立当時の教官,学生作品を対象に調査研究を行っている.

大学院修士課程学生対象に演習を行っている坂本,大西ゼミでは,各学生の制作をとおして,その内容を討論または文書表現で検討している.佐藤,木島ゼミ『卵黄テンペラ画』を文献および実習をとおして,イタリア前期ルネッサンスのテンペラ画の実際を考察している.文献にはトンプソン著『テンペラ画』の翻訳講読を行い,実習ではフラアンジェリコの作品模写を行っている.

そのほか、写真実習では、平面作品または人物を対象に、4×5カメラによる撮影、現像、焼き付け技術を行っている。大学院学生たちの作品は、油画というジャンルを超えて、半立体、画像、インスタレーションと多様化、複合化の動きもあるが、それらのなかにも古きを温め、新しきを知る姿勢が一貫して流れているように思われる。

研究室名称から、非常に古めかしいあるいはアカデミックな探求の場としていささか堅苦しいイメージを与えるかもしれないが、「絵画とはなにか」という問いに各学生が答えようと、意欲的に制作と研究に取り組んでいるといえよう。